バルトーク「弦楽四重奏曲第4番 第3楽章」より

2019/12/04 []

【バルトーク「弦楽四重奏曲第4番 第3楽章」より】



バルトークの音楽というのは「難解」なイメージがありますが、根本は「民謡旋律」と「西洋和声(Western Harmony)」の共存を目指したものなのです。



この例などは典型的でVerticalな構造としてはAMajが圧倒的に優位に居ますが、奏でられているHorizontal MelodyはDをCenterにしたモーダル&クロマチックなフレーズになっているのが分かります。



シェーンベルクが全ての音を平等に扱うことによって純粋に音程関係、リズム、配置、パターンを中心に「無調」=「究極の平等」を目指したのに対して、バルトークはあくまでも自国とその他の国(敵対する国も含めて) の文化を「生きたまま共存」させようとしたのが分かります。

結果的には両者ともサウンドは半音階的な無調に聴こえてきますが、その中身は全く異なるものなのです。



バルトークは更に、複数の半音階的な旋律の掛け合いも行った上で統合に成功していると言えます。



ただ、その響きは初級者にとっては決してポップなものとは言えませんが...「歌を聴く」という行為に徹しないと聴こえて来ないのが彼の音楽なのです。



複数の旋法性を持った音楽が複層的に重なり合い、一つのトニックに向けて収束していくというスタイルはオーネット・コールマンやセシル・テイラー等のフリー・ジャズの旗手にも影響を与えました。

ただ、オーネットはその指摘に対して「人は理解できないものを自分が知る知識の範囲の中に押し込めたがる」と皮肉を込めて話していたのも忘れてはなりません。



スタイルが似ているからといって、根本的な思想・音楽観までも同一であると断定するのは非常に危険(若しくは安直)なのです。



※下記譜例中の「C.E.」はクロマチック・エンハンサーの略です。「コブシ」の一種とも捉えていいかもしれません。

赤い旋律はあくまでもD(A Majから調的にはOutside)を中心に動いています。C音もNatural Cです。

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