映画:【間違えられた男】 The Wrong Man(1956)

2020/01/30 [映画・映画音楽]






監督 アルフレッド・ヒッチコック
脚本 マクスウェル・アンダーソン、アンガス・マクファイル
原作 マクスウェル・アンダーソン
出演: ヘンリー・フォンダ、ヴェラ・マイルズ
音楽 バーナード・ハーマン
撮影 ロバート・バークス

「冤罪もの」のはしりで代表作。

酒場でベースを弾いていたミュージシャンの男は妻の医療費の為に、保険証券を担保にお金を借りにいく。
しかし、彼は先日その銀行を襲った強盗犯人に背格好が酷似していた為に通報され逮捕・拘留されてしまう。

強盗が起きた当日、主人公一家(子供が二人)は休暇の為に郊外に行っており、一緒にカードゲームをして遊んだ男達の顔を思い出しながら、宿の主人に名前を特定してもらい、それぞれに会いにいくも、何とそのうちの二人とも偶然にも他界していた。

同僚達も親族も彼の無実を信じるが、逮捕の切っ掛けとなったと自責の念に駆られた妻だけが「何をしてもダメ、これは運命なのよ」と精神に異常を来してしまう。

親戚の行為で高額の肌で保釈金を出してもらい、裁判を起こす主人公の熱意とは裏腹に、夫を信じながらもあまりのストレスの大きさに諦め、力尽きていく妻の姿が痛々しい。

後日、真犯人はまた強盗事件を起こし逮捕され、主人公の無実は晴れたものの、それから2年間妻は療養所での生活を余儀なくされたという。

冒頭にヒッチコックが登場し「現実は私が今まで撮ってきたどの作品よりも恐ろしい」と述べるシーンもあり演出も絶妙である。

人の記憶の曖昧さ、集団心理、国家権力の横暴、人間の強さと脆さを同時に描いた深刻な作品である。

無実は晴れても、一度起きた現実をかき消すことはできない。
必要なのは、どのような現実にも立ち向かう「気力」なのであろうか...。
 

音楽豆知識