映画:サイコ-Psycho(1960)

2020/01/30 [映画・映画音楽]


監督:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:ジョセフ・ステファノ
原作:ロバート・ブロック
出演:アンソニー・パーキンス、ジャネット・リー
音楽:バーナード・ハーマン

滅多にお目にかかることは無いが、「神憑り」な映画に出会うことがある。
この「サイコ」は確実にその一本。

スプラッター・ホラーというジャンル自体が古びて滑稽になりがちなものなのだが、「サイコ」は何度観ても新たな発見がある。
映画批評でよく「ネタバレ注意」等とあるが、本当に凄い映画は「分かっていても怖い」、「ひたすら圧倒される」ものである。
母親の人格が息子に入り込むという、有るような無いような分かりづらい「精神病理」的設定がその不気味さを増している。

主人公のジャネット・リーの肉感的で知的な美しさと、ノーマンの歪んだ精神の闇の対比に拍車をかけるバーナード・ハーマン(1911-1975)の音楽。
彼は映画音楽史上で世界屈指の作曲家と言えるであろう。(シチズン・ケーン、タクシー・ドライバー等は特に有名)

映画音楽が「商業主義」一辺倒に陥っていくことに批判的であり、最後は盟友ヒッチコックと袂を分かつが彼の音楽を愛する一流映画監督は後を絶たなかった。
旧時代的なロマンティックさも持ち合わせながら、きっちりと先鋭性も見せ、何よりも映画との同期が格別に素晴らしい。

映画音楽は「映像の邪魔をしてはならない」という俗説をまともに受け、引っ込みがちな傾向がある映像音楽家たちに(それすらも分からないConventionalな作家は論外として)、音楽が映画を引っ張ることもあると勇気を呉れる映画でもある。

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ハーマンはオーケストレイターに任すことを晩年のギリギリまで嫌った、ハリウッドでは珍しいタイプであり、全て自分で書いたため寿命を縮めたとも言われている。

最期の作品「タクシー・ドライバー」(M.スコセッシ監督)の後に惜しくも急逝。
時代と才能が生んだ奇跡とも云えるハーマンの後に続く作曲家はまだ出ていない様に思う。

音楽豆知識