映画【巨人と玩具】(1958・大映)

2020/01/30 [映画・映画音楽]


監督:増村 保造
脚本:白坂 依志夫
原作:開高 健
音楽:塚原 哲夫
出演者 川口 浩、高松 英郎、野添 ひとみ

大手菓子製造業3社の「キャラメル販売戦略」を通じて、当時の世相やマスコミの絶大な力をシニカルに描き出した作品。

企業は売上の為なら何でもするという姿勢は今も昔も本質的に変わっていない。
それに伴う「過労死、出世争い、政略結婚、マスコミ対策、景品懸賞戦略」と言った今でも通用する「問題」を先取りし、ポップに描いた増村保造の才能は抜きん出ていた。

開高健の「巨人と玩具」という何ともクールなタイトルから皮肉な視点を感じるが、当の社員達は身を削り、家族団欒には目もくれず、血を吐きながら営業、宣伝に駆けずり回る。
仕事以外は、酒と女(今ならマンガ、DVD、ゲーム、ギャンブル)しか無い「一般人」という図式は少し安易であるが「自分で考えられない人々」というのは現在でも相変わらず多数派であろう。会社がなければ何もすることがない、役職者も退職すれば只の人。
生きるために再就職をしても結局は社会の歯車の一部でしかなく、それ以外の生き方や人生とは何かなどとしち面倒臭いをことに触れたがらない人が大半なのである。

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現代では珍しくもないが、色の付いた有名女優ではなく一介の素人の女の子を着飾らせて一夜でスターにしてしまったり、お菓子の懸賞で「現金が当たる」等というのもよく考えれば不思議な話であるが、消費者は「モノ」を買うときに品質だけではなくその「イメージ」も無意識に選んでいることに最初に気付き実行に移した人は偉い。
商品に見合ったイメージ(ブランド)を付けられるかどうかは販売戦略において隠れた要因なのである。

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お菓子のなかでは現在、「キャラメル」はもう主力商品ではなくなってしまった。
チョコレートやガム、ポテトチップスなどは相変わらず主力たり得るのに。
先日もスナック菓子「カール」が生産終了になったり、この産業も人気商売としての性格が強いように見える。

流行り廃りの渦からは逃れられないということか。

名作の割には興業成績が奮わず、「俺の映画は10年早かった」と嘆いた増村の気持ちも今はよく分かる。

パッケージの野添ひとみは少しヘップバーンに似ている。

音楽豆知識