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楽曲分析コードの高位音をメロディにする:「さよならバイスタンダー」YUKI

2020/05/20 [楽曲分析]

参考楽曲
「さよならバイスタンダー」YUKI
作曲:飛内将大


...


コード理論や和声を幾らやっても良い曲が作れないのは「旋律」について突き詰めることが少ないからでしょう。
音大、専門学校、理論書などで人に教えるにはあまりにも「感覚的」過ぎるのです。

あの恋の切なさを、あの痛みを伝えたいと思ったときに絶対値化は不可能なのと同様です。

絶対音感=音楽性が一致しないのは当たり前のことです。
広辞苑を丸暗記して作家になれるか?なれないことでしょう。

調性を距離感で掴むことは音響的な快感とはまた別の苦しみがあり、それは決して終わっていません。
確かに先人達があまりにも凄いものを残して来ましたが、その時代の感覚というものはその時代に生きている者にしか書けないのです。

この楽曲に限らず、フォークソング(民謡)というのは「調性の中心」を複数持つ汎調性であることが多く、単一調性を調べたがる「理論」では捉えられないのです。

例えばペンタトニック(ドレミソラ)で考えた場合は中心になり易い音は完全5度上の音を持つ「ドレソラ」の何れかです。
コーダルに見てもこの時点で可能性が4つもあるのです。
更にホリゾンタルに眺めた場合は、トニックに2度で隣接する音を持っているかどうか、メジャー、マイナーという性格を決定できるかどうかが大きなポイントになります。

そうなると「ドミソ」か「ラドミ」しかないのです。

しかし、歌はもっと深いのです。
それは選択ができるという点です。
完全5度堆積で優先順位を決めていくと最も調和する三音は「ド-ソ-レ」になるのですが、作曲家は意図的に離れた音に飛んだって構いません。「ド-ソ-ラ」ですとか「ド-レ-ラ」等とやっても良いのです。

こうなってくると本来のトニックは当然「見え辛く」なるので、調性が曖昧になります。

「さよならバイスタンダー」の場合、移動ドで歌うと「ミ-ファ-レ-ミ-ド-レ-ド」なので「メジャー」の第三音から始まっているだけなのですが、付いているコードは「Ⅳ-Ⅰ-Ⅱm-VIm」なので、全く「CMaj」を感じさせません。どちらかというと「エオリア」的な響きです。

これを追求し出すと本が一冊書けるので省きますが、コードや和声大好きな皆さんがお手軽にやる方法としては「コード構成音」の「高位の音」をメロディにするか、メロディを作ってから、その音が相対的にコードの「高位」に来るように細工を施すことです。

慣れてくると一つの音が様々な顔を持っていることが分かりますし、音が一つ増えるだけで立場が瞬時に変わるということが掴める様になってきます。

これは人間関係とも似ていますね。

カッコいいコード進行もいいですが、最後はウタとの関係性を見ないことには音楽は始まりません。
お洒落な服を着ても肝心の「モデル」が洗練されていなければお洒落にはならないのと同様です。
勿論、ダサさの追求というのをしたっていいのです。

そこが音楽の懐の深さです。

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