中央フリーウェイ/荒井由実

2017/01/03 [和声学]

「中央フリーウェイ」作詞・曲:荒井由実(松任谷由実)

この曲も冷静に分析すると驚きます。

「昔はラブラブだったカップルが冷めてきた状況」をさりげなく書いている曲です。

天才ユーミンはそれを「歌詞」(「愛してる」も風が強くて聴こえない、競馬場、ビール工場➡まぁ殺風景というか色気がない)だけではなく、トーナリティ(調性)/コード進行でも同時に表現しています。
おそらく、技巧的にではなく無意識に。

普通、キーCMajで「Fm-B♭7」と来たら、それは「一時的」に同主短調に「寄り道」しているだけなのです。(サブドミナント・マイナー・ケーデンスという)
仲のよい状態での「戯れ」みたいなもの。

しかし、この曲はそのまま「E♭Maj」のキーに行ってしまうのです、ちょっと「寄り道」どころではなく、本当に「分離・変質」している。

もう、お互いの心は離れているのです。
一応、助手席に座り、仲良くドライブしていても心はお互いが「流星」のように「どっちを向いているか分からない」というこの切なさ。

この「調設計」を「意図的」にやっているとしたらもうプロの作曲家も頭が上がりません。
ただ、口をあんぐり開けて立ち尽くすだけではないでしょうか・・・

確かに一見すると「同主短調を経由した三度近親調(CMajとE♭Maj)」ですから、近いように見えますし、実際に二人は近くに居るし、隣に座っているのです。
しかし、よくよく見たらいつのまにか「キー」はすごく離れている。
端から見たら「ドライブデートをしている仲の良いカップル」なのに実は「心ここあらず」。
そんな状況を絶妙に表現してしまうとは...まるで映画のようです。 ボーッと聴いていてるだけだと全く気付かないところが怖いんですね。

自分のことを好きで隣に座っているはずの彼女の心はもう離れている、同じ道を走っているのに、心は空の彼方を向いている。恐らく彼氏も気付いている。

いや、これは女性が歌っているのですから、寧ろ「私ってもう愛されていないのかなぁ」という「女性の不安」をメインに表しているのでしょう。何か泣けてきますねぇ。

本当にこの方は「天才」なのだなと舌を巻きました。

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