モードからコードへ~旋律を和音へすることの矛盾

2018/10/07 []

「閉じた眼Ⅱ」(武満徹/作曲)の冒頭の響きは実に選び抜かれている。



最終的な回答は作曲者本人にしか分からないのではあるが、これをきっかけに「リディアン・クロマティック・コンセプト」が斬り込んだ「モード(旋法)から見た調性」と、それを「3度堆積のコード(和音)」に応用していくという発想を基礎から見直してみた。



これは、既出の訳本にも掲載されている内容であるので書ける範囲で書いてみる。



初めに読んだときは何となくスルーをしていたが、やはり「基本」は大切だと改めて感じた。



自然倍音において、「ある音」が発音した際に潜在的に完全5度上の音が鳴っている。

更にそれを拡張していき長3度上の音が次に鳴る(平均律では誤差が出るにせよ)。



例えばC Lydianを例に採れば、C-G-D...と堆積していくと同時にそれぞれの長3度上の音も鳴っていることになるので、E-B-F#が導き出される。



問題は次のAである。



Aが鳴った瞬間にCLydanの7音スケールが完成するのだが、同時に調性的には最も遠いC#が出現するのである。

これはシントニック・カンマの為せる業として、一旦は保留、見て見ぬふりをして次のEを潜在的にではなくしっかりと発音するというところまでが一つの境界線になるのである。

Eの長3度上はG#なのでCの「Augmented 5th」となり、ここからOutSideへの道が始まる。



次のBの長3度上がD#=E♭なのでCの「Diminished3rd」となりここまでがギリギリCLydianにとって内向きという話なのだが、やはりこの目の上のタンコブのようなC#を飛ばすのは矛盾していると指摘したのが濱瀬元彦さんなのである。



発音していない=存在しない



と割り切ってしまう、または人間の聴覚上、印象に残らず補正してしまうというような曖昧な部分に納得が行かないという指摘も実は一理あるのである。



武満さんの最初の和音も改めて眺めてみるとやはりリディアン・トニックを決定するのは非常に困難なのである。

経過的に見ていくことが基本なのではあるが、全てが鳴り終わって結果的に分かるということもあるのでミクロな視点だけで判断するのは早計とも言える。



もう一度、見直したがやはり一つに絞るのは難しい。

9音スケールというのは決して無調ではなく汎調になるのである。



中心が複数ある。



それが3つ程度に絞れるのであれば、比較して追い込む事が容易なのだが、この曲は可能性が4~6つくらいある(T-T)



文章でいうと結論を言った後に、「あっ、ちょっと待った、やっぱり...」というのを複数回やられたような感じ。



そのグラデーション、タイミング、鳴らす音域が本当に絶妙としか言いようがない。





文責:彦坂

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