Column[ コラム ]
ピアノ練習に最適な指のトレーニング方法は?おすすめ教本も解説
ピアノの上達のためには、ただ単に楽譜を読む力やリズム感を鍛えるだけではなく、指の筋力や柔軟性を高めるトレーニングも大切です。指を動かす訓練を積むことで、表現力の豊かな演奏が可能となり、速い曲もスムーズに弾けるようになります。
当記事では、ピアノの上達に役立つ指のトレーニング方法と、効果的な練習方法について詳しく解説します。指の動きを良くしてピアノの上達を目指したい方はぜひ当記事を参考にしてください。
ピアノ練習に指のトレーニングは必要?
ピアノやギターなどの楽器を演奏するためには、楽譜を読む力やリズム感の習得に加えて指を動かす訓練が欠かせません。トレーニングを行って指の筋力や柔軟性を高めることで、ピアノの上達につながります。
具体的には、次のようなメリットがあります。
・表現力が高まる
鍵盤を強く押さえれば激しい音が、優しく押さえればやわらかな音が出ます。どちらの場合も指の筋力が必要であり、筋力を強化することで演奏に変化をつけやすくなります。筋力が足りないと音の強弱ややわらかさを十分に弾き分けられず、演奏が単調になりがちです。また、利き手でない手の指の筋力を高めると余分な力を抜いてリラックスしやすくなります。
・速い曲が弾けるようになる
1本1本の指を素早く器用な動きに慣らすことで、速い曲もスムーズに弾けるようになります。また、長い曲を弾くときや複数の曲を続けて弾くときにスタミナ切れしにくくなります。
・怪我を防げる
スポーツをする前の準備運動と同じく、演奏前のトレーニングをすると指の血行をよくし柔軟性を高められます。指の筋力が足りない状態や寒さなどで指がこわばった状態でいきなり演奏すると、指のつりや突き指などのリスクがあり危険です。
・ピアノに触れないときも練習できる
日々の仕事や学業などで忙しいと、ピアノの練習時間を思うように確保できないこともあるでしょう。しかし指のトレーニングは隙間時間でも可能です。コツコツとトレーニングを続けることで指が鍛えられ、スキルアップにつながります。
ピアノが上達する指のトレーニング方法
ピアノを演奏するときは、指先だけでなく手、腕、肩などのさまざまな筋肉を使います。指のトレーニングを初めとして、手の周りの筋肉も一緒に鍛えましょう。握力を高めるためのハンドグリップもありますが、特別なアイテムがなくても指のトレーニングは可能です。
ここでは、基本的な指トレーニングのやり方について解説します。指を痛めないよう長時間の無理なトレーニングは避け、適宜マッサージを取り入れながら行いましょう。
伸筋・屈筋のトレーニング
前腕の手の甲側にある伸筋は手首や指を伸ばすための筋肉、手のひら側にある屈筋は手首や指を曲げるための筋肉です。伸筋と屈筋をしっかりストレッチすることで、指が動きやすくなります。
1 | 正しい姿勢でピアノの前に座る |
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足裏をしっかり床に着け、骨盤を立てるイメージで腰に重心を置いて座ります。 背中・肩・胸を広く保って背筋を伸ばし、余分な力を抜いて体の中心から腕が伸びていることを意識します。 | |
2 | 伸筋のストレッチ |
腕を前に伸ばして手首を下へ曲げ、親指以外の指を蓋の上に置いて指先を手前へ向けます。 全身のつながりを感じながら腕・背中・腰を伸ばし、息を吐きながらゆっくり4数えます。 その後、息を吸いながら力を抜いて伸筋をゆるめます。 | |
3 | 屈筋のストレッチ |
手首を上に曲げて親指以外の指を蓋の手前につけ、蓋を手前へ押すように力をこめながら息を吐いてゆっくり4数えます。 その後、息を吸いながら力を抜いて屈筋をゆるめます。 |
ピアノが近くにない場合や蓋のないピアノを使っている場合は、机や壁の前に座ってトレーニングしてもよいでしょう。
指そらしのトレーニング
指の腱の柔軟性を高め、脳からの指令をスムーズに指先へ届けるためのトレーニングです。
1 | トレーニングの基本形を作る |
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左手を水平に伸ばし、肘を90度に曲げて手のひらを前へ向けます。 | |
2 | 薬指以外の指を動かす |
薬指の先端を右手で持ち、手前方向へ反らすように伸ばします。 この状態を保ったままで、ほかの指をゆっくりと曲げ伸ばしします。 | |
3 | 薬指のみを動かす |
次は薬指以外の指を持って反らし、薬指だけをゆっくりと曲げ伸ばしします。 | |
4 | 他の指で2~3を繰り返す |
人差し指、中指、小指に対しても、2~3を繰り返します。 | |
5 | 右手でも繰り返す |
右手で1~4を繰り返します。 最後に、両手の指を思い切り広げるように伸ばします。 |
手で指を持ってそらす時は痛みを感じない範囲内にとどめ、腱や関節を痛めないよう注意しましょう。
指を寄せるトレーニング
5本の指それぞれの筋肉を独立させ、より正確に指を動かすためのトレーニングです。
1 | トレーニングの基本形を作る |
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指を完全に伸ばして一列に揃え、中指と薬指の2本をくっつけてその他の指を左右に広げます。 | |
2 | 中指を動かす |
他の指を極力動かさずに、中指だけを人差し指側と薬指側へ交互に動かします。 余分な力を抜いて、脳からの指令を正確に指へ伝えることを意識しましょう。 | |
3 | 薬指を動かす |
次に、薬指を使って2と同じ動作をします。 |
慣れないうちは他の指が一緒に動いたり、余計な力が入って疲れたりすることも少なくありません。素早く正確に指を動かすためには、毎日コツコツ行うことが大切です。
指を早く動かすトレーニング
5本の指それぞれを思い通りに動かすためのトレーニングです。
1 | 両手の指を合わせる |
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胸の前で両手それぞれの指の腹を合わせ、手のひらの内側に空間を作ります。 | |
2 | 人差し指をゆっくり動かす |
人差し指を10秒かけて2cm離し、さらに10秒かけて元通りにくっつけます。 | |
3 | 人差し指を回す |
もう一度人差し指を離し、できるだけ速くぐるぐると回します。 | |
4 | 他の指でも繰り返す |
親指・中指・薬指・小指を使って、2~3を繰り返します。 |
はじめのうちは、特に動かしにくい薬指と小指を重点的に鍛えるとよいでしょう。
柔軟性のトレーニング
指と手のひらの柔軟性を高めるトレーニングです。
1 | 両手をほぐす |
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左右の手のひらと指を反対の手でマッサージし、軽く引っ張りながら伸ばします。 | |
2 | 思い切りグー・パーを作る |
両手が温まってきたら、ぎゅっとこぶしを握って5秒間保ちます。 その後、握ったこぶしを思い切り広げて5秒間保ちます。 | |
3 | 2を繰り返す |
グー・パーを作る動作を、5回繰り返します。 |
このトレーニングはいつでもどこでも気軽にできるので、ピアノのためのトレーニングはもちろんただリラックスしたいときにもおすすめです。
指のトレーニングができるピアノの教本
指のトレーニングのために教本を選ぶ場合は、「基礎的な練習を行えるかどうか」に着目します。古い教本の中には、片手ずつ別々に練習してからいきなり両手で左右非対称な動きをするものもあります。しかし左右非対称の動きに不慣れな初心者にとってはつまずきの元になることもしばしばです。
左右非対称な動きでつまずかないためには、最初から両手で練習することが重要です。最初は左右の指を対称に動かし、少しずつ非対称の動きを取り入れながら練習すると、徐々に指の動きに慣れることができます。
指トレーニングに特化した「ハノン」は、大人になってからピアノを始めた人におすすめの教本です。基本的なものから変則的なものまでさまざまな指使いが登場しており、繰り返し練習すると効率よく指を鍛えられます。また、正しい姿勢やフォームも身につきやすくなるでしょう。
自由にアレンジして練習できるハノンは、ピアノ教室のレッスンやプロの基礎練習に用いられることも少なくありません。初心者はまず遅めのテンポから始め、譜面通りの運指やリズムを意識します。反復練習を経て指が自然に動くようになったら、テンポやリズム・調などを少し変えて練習すると表現力を身につけやすいでしょう。
まとめ
ピアノ演奏の技術向上には、指のトレーニングが欠かせません。適切なトレーニングを行うことで、表現力を高めるだけでなく、怪我を防いだり、ピアノに触れない時間を有効に使えたりします。
指のトレーニングには、柔軟性を高めるためや指の動きを良くするためのものなど、目的ごとにさまざまな種類があります。自分の苦手な動きを把握した上で、適した教本なども使いながら指の動きを改善させましょう。