映画:キング・ソロモン(1950)

2018/12/27



King Solomon`s mines

監督:コンプトン・ベネット、アンドリュー・マートン
脚本:ヘレン・ドイチュ
原作:ヘンリー・ライダー・ハガード
出演:デボラ・カー、スチュワート・グレンジャー
音楽:ミッシャ・スポリアンスキー
撮影:ロバート・サーティース

その後に何度か「キング・ソロモンの秘宝」としてリメイクされたり、「インディ・ジョーンズ」として大ヒットを飛ばした「未開地の秘宝探検もの」のはしりとなった作品。

世と人間に嫌気が差してアフリカの奥地で「ツアーコンダクター」をしている男のところに、「宝探し」で行方不明になった夫(カーティス)を探しに妙齢の美しい妻が「金に糸目は付けないから、ガイドをしてほしい」とやって来る。

男は「こんな奥地まで来る物好きな女にロクなのは居ない」と一蹴するが、一生かかっても稼げない大金の提示(彼には前妻との未成年の息子が居た)と、カーティスの美人妻の「あなたには分からないのよ、人を愛するということが」の言葉が引っ掛かり、ガイドを引き受ける。

しかし、その夫が行ったと云われるところは、彼も一度も行ったことがない僻地であり、どんな猛獣や原住民に襲われるか分かったものではない。

ほぼ自殺行為に等しいこの狂行のなかで、人間の愛憎の複雑さをも提示する作品。単なるエンターテイメントとは異なる奥深さを持つところが後年のリメイクとは一線を画している。

デボラ・カーの謎に満ち、女の弱さと強さを併せ持った美貌と、スチュワート・グレンジャーの無骨で素っ気なくありながらも、真っ直ぐな恋心が男女の「心の機微」を見事に描いている。

また、この時代は優れたCGでなどはなく、全て本物のアフリカ・ロケであり、そこに倫理など存在しない動物や自然の厳しさ、独特の価値観を持つ原住民達の逞しさもリアルに迫ってくる。

心理描写(ラブ・ロマンス)のシーンと自然界のシーン(ドキュメンタリー)を監督を分けて撮ったところが素晴らしく対比が見事であるし、映像が全てを物語る作品に「安い劇伴」など無用であることを改めて思い知らされる作品でもあった。

実質的に音楽は現地人の「リズム」と「ウタ」や動物達の啼き声だけで100分もたせている。
 
文責:彦坂

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