チック・コリアの音楽(音楽の友社)

2019/07/01

チック・コリアの音楽】(音楽の友社)
山下邦彦・著(絶版のため高価です)




私はチック・コリアの音楽はあまり面白いと思ったことがないのですが、この方の分析力には賛辞を惜しみません。


後年の坂本龍一さんの研究や、小室哲哉さんとの比較についても他の理論家が立ち向かう気が無くなるくらいの分量で書ききっています。


しかし、どこまで行っても「方法論」の域を出ていない。


それが理論家の限界なのです。
何とかシステムにしようとしてしまうところがつまらなくもあるのです。
実は答えなどがない「音楽」という化物を完璧に捉えるのは絶望的なことだという感慨が読めば読むほど強くなってくるのです。


ジョージ・ラッセルは「答え」をある意味で放棄しているようなところがあって私は好きなのです。
考え方、姿勢、哲学を教えてくれたのは彼のものだけかもしれません。
(理論書、方法論として「閉じていない」と批判を受けるのはある意味当然かもしれない)


作曲家はここまで分析されるくらいの理論構築で立ち向かうことを目的とすべきでしょうか?
私はそうは思いません。


寧ろ、武満の如く分析されるのを拒否するようなものこそ、最後は本人にすら解き得ない様な何かがあるものこそ「本物」だと思っているのです。
シェーンベルク、バルトーク、ヒンデミット、メシアン、ブーレーズ。


分析力に長け、且つ創造的であるということが如何に困難であるかを彼らが証明しているのです。彼らにも理論をはみ出したところはあり、一律に否定している訳ではないのですが...。  


まぁ、一度はどれかにどっぷりと浸かってみるのも良いでしょう。
私には殆ど分かりません、書くときに理論で書いたことは一度も無いので。


理論は起爆剤、気付け薬くらいに思っていれば良いのです。
知的な快感を得ることはできるでしょう。








文責:彦坂
 

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