ブルースをどう捉えるか?

2019/07/07



最近はジャズの理論書も多く出回っていますし、音楽学校でもジャズを教える時代になりましたが、その構造を本気で考えてみましょう。


「あれは奴隷としてアフリカから引かれてきた黒人が貧しさと苦しさから産み出した音楽」というようなステレオタイプで習わなかったでしょうか?


本来はトニックが「7th」ということは有り得ないのだけれど、音楽に無知な黒人たちの歌っていたものだから仕方がないと。


果たしてこれは正しい見方なのでしょうか?


勿論、ある種そう言った側面は有るでしょう。そして、本質の一部は突いている様にも聞こえます。


しかし、本物のブルースを聴いてみるとそこには純然と調性が感じられますし、そんな安直に丸暗記するだけでは情けないと言わざるを得ません。


これに対する答えはリディアン・トニックを見ていくと分かってくるのです。
「リディアン・クロマティック・コンセプト」は調性がある音楽に対しては万能です。
古典も中世も近代も、同じ地平で眺められます。


【ブルースの調性の動き】譜例参照


これは一般的に多く演奏されるFブルースです。
学校ではトニックに「ドミナント7th」が来るのは「特殊なケース」であると習いますが、実はトニックはコードネームではなく調性の中心に有るべきであり、究極的に言うと「一音」でも成り立ちます。


メジャーやマイナーというのは「着物」でしかないのです。


つまりFブルースは「E♭」をリディアン・トニックに持ちながらも「ホリゾンタル・トニックはF」の音楽ということが言えるのです。
更にブルース・スケールというものを観察していくと、それは「E♭Lyd.にaug.と4thを加えたスケールがFに向かって収斂していくモード」ということが言えるのです。


これはリディアン・クロマティック・コンセプトのライセンサーですら異なった見解の方が多いのです。
彼らもこれを「例外」として捉えており、初めから「FLydの10t.o(Wholetone)」と解釈していたり、ヴァーティカルとホリゾンタルをいっしょくたにしているケースがほとんどなのですが、私はそうは思いません。
それだと、バークリー理論と何の変わりもなくなってしまい、結局は機能和声と変わらない解釈になってしまうからです。


ホリゾンタル・トーナリティというものは一朝一夕に身に付くものではない。
という先入観があるようですが、民謡などを平気で歌える私達には既に身に付いているものなのです。
ジャズマンはどうしても三度堆積を絶対視する傾向があるのと、西洋古典音楽を有り難いものと崇めすぎなのです。
ベートーベンは確かに素晴らしい不世出の音楽家ですが、絶対視するのはおかしいのです。いつまでも曾祖父さんの金言を全て守っているような古臭い頭から新しい音楽などは生まれっこありません。


少なくともジャズマンには開拓精神を持って欲しいと思います。


権力や古い慣習へのアンチがジャズの本来の存在意義なのだと思います。




※補足
「F Bluenote penta」は普通に考えると「E♭」ではなく「A♭Lyd.」が「親スケール」で






文責:彦坂
 

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