【狂気の西洋音楽史】 椎名亮輔・著(岩波書店)

2019/08/19

【狂気の西洋音楽史】
椎名亮輔・著(岩波書店) 


「シュレーバー症候群」は幻聴が重度で精神にも影響をきたす状態。
シュレーバーさんという人はそれに対して「ピアノを弾き続ける」ことによって「マスキング(覆い隠す)」したそうです。

彼は決してプロのピアニストではなかったのですが食事の時も、トイレの時も弾き続けることがあったほど異様な精神状態だったのです。

シュレーバー症候群の話をきっかけにロマン派時代の様相や文学、フロイトの精神分析、言語学、哲学と色々な分野の話が絡んできてなかなか面白いものでした。

シューマン、フーゴー=ヴォルフ、ラヴェル(彼は事故で頭に浮かんだ音を再現しアウトプットできなくなった)、マーラー、シェーンベルク、そしてベートーベン。

皆んな自己世界において壮絶な体験をしていたのでしょう。 
音楽家というのは耳と感性が優れていればいるほど狂気と紙一重になります。

彼等は音楽に何を感じ、そこからどのような情景を頭に浮かべていたのか。 

絶対音楽(音楽は音でしかなく文学的な意味など持たない)を信奉していた人間ほど意外にそういう側面を持っているというのがなかなか興味深いです。
現代にこれだけ厳しい音楽家が少ないのは喜ばしいことなのか情けないことなのか。



文責:彦坂

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