【ブルーノートと調性】 濱瀬元彦・著

2019/09/11



彼の書いたものは立派に「メソッド」になっていると思うのだが、普遍性という点ではラッセルに軍配が上がる。
そもそも闘うステージが異なっているので、同列で比較するのは愚かであろう。

私は運が良いことに機能和声を学ぶ前にゲーム音楽や映画音楽を通して「モーダルな感覚」は身に付いていた。そこから後付けで古典和声をやったり、バークリー・メソッド、日本の不満足な折衷書などで学んだので、理論やら概念への抵抗が人より薄いのである。
無宗教という「宗派」みたいなものである。

ということで、濱瀬さんの面白いところも見ていこう。これはこれで本気で使おうと思えば使えるのである。
大切なのはあらゆる角度から音の様態を見ること。その上で自分なりの方法論を確立し作曲やアドリヴをすることであり、憲兵隊のようにある概念からはみ出たものを一律に糾弾することではない。(そこを通過することも実は重要)

まず彼のメソッドは「L.C.C.」の完全5度で全てを片付けようとする安易さを否定している。

実はラッセルは汎調性を目指しているので、一歩間違うと全てをニュートラルに見てしまう様なところがあり、メソッドとして自分で確立できるまでには数年は要する。
オタクの私ですら一年では利かなかったし、今もまだ深められている。
武満徹の域まであと何年かかるやら。

反対に濱瀬さんは「方法論」を目指しているので、全てに明確な一つの解答が出てくるところが潔いとは言える。
そして、それがこれまでにない見方であったことも重要である。

カルトではあるがオカルトまでは行っていない。




文責:彦坂

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