商業音楽制作

2022/09/12

私が音楽業界を目指していた20年近く前はまだDTMは趣味でアマチュアがやるもの、生演奏には勝てないだろうという空気がまだ少しありました。

しかし、思いもかけぬ程にデジタル化が進んだ末に現状では打ち込みや譜面もPDFや「Finale/Sibelius」などで納品することが当たり前になっています。

個人的にはテクノロジーの発展=音楽性の向上とは思いませんし、今の商業音楽を見ていて感心するものは少ないというのが本音ですが、世の中スマホが当たり前になったように、どんなに優秀なガラケー/ポケベルをもっていても相手にされなくなってしまったわけです。

私は頑固に音楽性だ!と20年近く闘っている訳ですが、結局のところ大衆(分かりやすいのでイヤな言い方ですが使います。平均的なリスナーという意味に取ってください)は音響の派手さや細やかさに騙されてしまうものなのです。

また、テクニカルなものが芸術性を上回って評価されるのは時代の必然とも言えます。

本当にプロとして業界を目指すのであれば、少なくともDAWソフトと譜面作成ソフトは一揃え、使いこなせる様になっておくことをオススメします。
私がそれに打ちのめされ適応し出したのは30前ですから、他の方より大きく遅れを取りましたが、世の中には分かってくれる人も勿論存在して、何とか収入になっているというのが現実です。

理論書も今は7冊目に入っていますが、元々はそんなものを書くつもりは毛頭なく普通に作曲家として活動したかったのですが、アイドルとアニソン、いい加減な劇伴(音楽的にという意味で、音響効果は目を見張るものがありますし、全員ダメとは言いません)を見ているうちに、私が書かなくて誰が書くのかという使命感が湧き、苦しいですが書き続けているのです。

今はアイドル(秋元系AKB、乃木坂など/ジャニーズ系統)かアニメくらいしかお金にならないので仕方がないのです。
勿論、純粋なアーティスティックな作家も居ますし、苦手な分野は分業していくという時代も実現しつつありますが、極力オールマイティーに学んでおく姿勢は必要だと思います。

以前、世界的に有名な坂本龍一さんにお話を伺ったことがあるのですが、彼も基本的に音楽は食べていけるものではないし、時代に迎合するのは人生の浪費だと語っていました。
しかし、適応して売れた結果が彼をあそこまで自由にしたのも事実です。

展望の参考にして頂ければと思います。

※私もスケッチの段階や和声や対位法の実習、習作はどれだけ手書きで書いたか分かりません。数百はあると思います。
但し、近年は目も悪くなりましたし、実質手書きで受け取ってくれる演奏家は少なくなってきたので、今はCubase/Sibeliusは一応使える様にはなりました。

また、音楽事務所に歌もののデモを送る際には仮歌や仮歌詞を付けるのも当たり前になっていますし、トラックメイキングも評価対象になっています。
なぜなら、最終的にお金を出すのは音楽の専門家とは限らないからです。


文責:彦坂
 

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