トニックの「ディミニッシュ化」って何ですか?

2023/09/07




西洋古典和声ではトニックは基本的に「メジャー」か「マイナー」というクオリティ、型をしていますが、本来決まりなどありません。
単音でもトニックに成り得ますし、ジャズブルースの様に「7th」の形をとることもできます。
この際、大切なのは「終止感」や「進行感」をいかに作るかです。
ワンコードで永遠に動かないドローンの様な音楽も民族や地域によってはありますし、日本の雅楽などもこちらに属します。
西洋音楽においても、時代が進むに連れて「ドミナント▶トニック」という動きのみで進行を作るのに飽きてしまう作曲家が出てきました。

そこで、「C▶Cm」や「Cdim▶C」などクオリティの変化で進行を現す技法が出てきたと推測されます。
リチャード・ロジャース作の「Spring is here」(春は来ぬ(が来た))を演奏したビル・エヴァンスはスクリャービンやラヴェルなど近現代の和声にも精通したのでこの様なアレンジを思い付いたのでしょう。
①A♭▶Adim

②Adimは⚫7の♭9thの根音省略形とも取れる。

⚫に入るのはE7、G7、D♭7、B♭7の4種類

④メロディと合えばどれを使っても構いませんが、極力メロディがアウトサイドに聴こえる様にデザインする。
ビル・エヴァンスはさらに3小節目でⅡm-V化も試みており、更にllmの部分にも一捻り加えている(普通ならA♭m7)ところが憎い演出です。

詳しく知りたい方は拙著「究極のジャズ理論」をお読み下さい。



文責:彦坂

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