Column[ コラム ]
歌のロングトーンとは?綺麗に声を伸ばすコツや練習方法を解説
歌の上達を目指すためには、重要な部分で印象的な歌声を響かせることができるロングトーンを身につけるとよいでしょう。しかし、ロングトーンには歌を歌う上でのさまざまなテクニックをマスターしている必要があるので、なかなかうまくできないという方もいるかもしれません。
当記事では、ロングトーンを綺麗に出すコツと練習方法を解説します。歌がうまくなりたい方は、ロングトーンの習得を目指して練習を重ねましょう。
ロングトーンとは?
ロングトーンとは、ある音程を一回の呼吸で長く出し続ける発声法のことです。腹式呼吸や声門閉鎖などのテクニックが凝縮された発声方法で、サビや歌の終わりによく使われます。
ロングトーンを習得すれば、曲のハイライトとも言える重要な部分で感情や抑揚を豊かに表現でき、歌全体が上手に聞こえます。歌唱力の向上には欠かせないテクニックで、歌手や声楽家などの歌のプロはロングトーンを使いこなしています。
ロングトーンの長さには明確な規定はありませんが、以下ではロングトーンの評価となる目安を紹介します。
ロングトーンの秒数 | ロングトーンの評価 |
---|---|
5秒~9秒 | 一般的なロングトーン |
10秒~14秒 | 少し長めのロングトーン |
15秒~19秒 | 長いロングトーン |
20秒~29秒 | とても長いロングトーン |
30~39秒 | 聞きごたえのあるロングトーン |
40秒以上 | プロ級のロングトーン |
オペラ歌手の伸びやかなロングトーンでも、40~45秒ぐらいが限界と言われています。「カラオケの自動採点で高得点を目指したい!」という方は、10秒を超える少し長めのロングトーン習得を目指して練習するとよいでしょう。
ロングトーンをマスターするメリット
ロングトーンを練習するとどのようなメリットがあるのでしょうか? ロングトーンを習得することで得られる3つのメリットについて解説します。
歌声が安定する
伸びやかなロングトーンの実現には、腹式呼吸や声門閉鎖を正しく行うことが欠かせません。正しい発声方法や呼吸方法が身に付くので、ロングトーン以外の部分の歌声も安定します。
表現力が上がる
ロングトーンは、サビや歌のエンディングなど曲のハイライトと言える部分で登場します。ロングトーンを伸びやかに出せるようになると、歌声に感情をのせたり抑揚をつけたりなど、幅の広い表現が可能になるでしょう。
ビブラートの習得につながる
音を伸ばす時に声を揺らして響かせるビブラートは、歌がうまいと言われる歌い手やオペラ歌手などが駆使する上級者向けのテクニックです。同じトーンの音を長く安定して出し続けるロングトーンは、ビブラートの基盤となります。ビブラートを気持ちよく発声できるようになるためには、まずロングトーンを習得しておくとよいでしょう。
綺麗なロングトーンを続けるコツ
「ロングトーンをしたいけど長く息が続かない」「声が震えて安定しない」など、練習を重ねているのに綺麗なロングトーンが出ず、悩んでいる方も多いでしょう。そこで、綺麗なロングトーンが出せるようになるコツを紹介します。
正しい姿勢を心がける
音楽の授業で歌を歌う時に、「良い姿勢で!」と先生に言われたことがある方もいるかもしれません。歌声を伸びやかに出すためには、歌唱に適した正しい姿勢を整えることが必要です。
ロングトーンが出しやすい正しい姿勢とは、身体が適度にリラックスでき、無駄な力が入らない姿勢です。脚を肩幅に広げて立ち、身体が垂直になるように重心を少し前にかけ、背筋を伸ばしてまっすぐ前を見るように心がけましょう。猫背になったり、背筋をまっすぐしようと反り腰になったりするのはNGです。
声をまっすぐ伸ばすイメージを持つ
歌を歌う時にうつむき加減で視線を落としていたり、手元の譜面を必死で目で追っていたりすると、なかなか伸びやかな歌声は出せません。綺麗なロングトーンを出すためには、声を遠くへ飛ばすイメージで歌ってみましょう。
部屋で一番遠い反対側にいる人やコンサート会場の最後列に座っている人に向けて、歌声を届けるイメージで発生すると、伸びやかなロングトーンを出しやすくなります。
リラックスする
ロングトーンを綺麗に出すためには、適度に力を抜いて体をリラックスさせることが大切です。ロングトーン中に息が苦しくなると体に力が入ってしまいがちですが、体が緊張すると喉も締まってしまうので注意しましょう。
まずは、歌っている時にどこに力が入ってしまうのかを見極めます。力が入りがちな部分は、脚であったり肩であったり、人によってまちまちです。力が入ってしまう場所が分かったら、歌う時にその部分を意識して、力を緩めるようにしましょう。
ロングトーンの練習方法
ロングトーンを習得するためには、どのような練習方法が効果的なのでしょうか。ここからは、ロングトーンが上手になるおすすめの練習法を紹介します。
練習内容は、どれも歌唱の基礎を固めるのに役立つものばかりです。毎日コツコツ練習して、綺麗なロングトーンを目指しましょう。
腹式呼吸を身につける
まずは、ボイストレーニングの基本とも言える腹式呼吸を身につけましょう。腹式呼吸とは横隔膜を大きく動かし、お腹を膨らませるように息を深く吸い込む呼吸法です。ロングトーンではたっぷり息を吸い込むことが必須なので、腹式呼吸を身につけるのが最も重要と言えるでしょう。
息を吸った時に肩が上がってしまう場合は、胸式呼吸になっている可能性が高いです。仰向けで寝た状態の時は自然と腹式呼吸になるため、腹式呼吸の感覚が分からないという人は寝転んだ状態で発声してみてください。腹式呼吸の感覚がつかめたら、歌を歌う姿勢を取り、寝ている時と同じようにお腹で呼吸ができているか確認しましょう。
ブレスコントロールの練習をする
腹式呼吸は息の吸い方の基礎練習ですが、同じくらい大切なのが息の吐き方の練習です。ロングトーンを綺麗に出すためには長く安定して息を吐き続けることが欠かせません。
息をコントロールしながら吐き出す技術を、ブレスコントロールと言います。ロングトーンを出しているうちに息が切れてしまわないように、吐く息を一定に保つ安定感が重要です。
ブレスコントロールの練習では、腹式呼吸で大きく息を吸った後、膨らんだお腹を徐々に凹ませていくイメージで、「ハー」と発声しながら空気量を一定に保ちながら吐き続けます。だんだん苦しくなってきますが、肩や背中に力が入らないようリラックスした状態を保つのがポイントです。
手を口の前に構えて、寒い日に冷えた手を暖めるような感覚で、手に一定量の息がかかるように長く吐き続けるのも効果的な発声練習になります。
ロングブレスの練習をする
腹式呼吸とブレスコントロールの練習が終わったら、いよいよロングブレスの練習です。
ロングブレスの基本的な練習方法は、以下の通りです。
- リラックスした姿勢で、横隔膜を意識しながら鼻から息を吸い込む
- 歯と歯の隙間から吸った息をスーッと吐き出す
- ロングブレスの時間を設定し、一定量の息を吐き続ける
ロングブレスの練習で息を吐き出す時間は、初心者はまず10秒から始めてみましょう。10秒ができるようになったら20秒、20秒ができるようになったら30秒と、徐々に時間を伸ばします。最終的には1分を目標に、練習を重ねてください。
まとめ
ロングトーンとは、一定の音を長く出し続ける発声方法です。ロングトーンを身につける際は腹式呼吸やブレスコントロール、ロングブレスなどが必要となるので、歌の上達を目指すならロングトーンの習得を目標にするとよいでしょう。
ロングトーンを綺麗に出すためには正しい姿勢を保つ必要があるので、最初は鏡を見ながらのトレーニングがおすすめです。無駄な力を抜き、声を前に飛ばすイメージを心がけながらロングトーンの練習を行いましょう。