Column[ コラム ]
高い声を出す方法は?心がけたいポイントやトレーニング方法も解説
歌を歌うとき、高い音程が出ずに苦労したことがある方もいるでしょう。発声できる音域は人によっても異なりますが、音域はトレーニングによって広げられます。自分が出せる音域がどの程度なのか把握した上で、無理のないトレーニングをしましょう。
当記事では、高い声を出すためのポイントやトレーニングを詳しく解説します。歌声の音域を広げ、気持ちよく歌いたい方は当記事をぜひ参考にしてください。
高い声が出ない?自分の音域は?
高い声が出るかどうかは、自分の音域により異なります。音域とは「声域」とも言われる、人それぞれで発声できる声の範囲のことです。発声できる範囲は生まれつきの声の高さ・低さのほか、年齢や体格も影響します。また、声帯が小さめで振動数が上がりやすい女性のほうが、高い声が出やすいと言われています。
下表は、歌唱時に出せる日本人の男性と女性の音域の目安です。
地声(チェストボイス) | 裏声(ヘッドボイス) | |
---|---|---|
男性 | C3〜G4 | E4〜C5 |
女性 | G3〜C5 | B4〜E5 |
アルファベットと数字が組み合わさった数値は、国際的に用いられている音階を表す表記です。地声と裏声のどちらも、女性のほうが高い音域であることが示されています。
先天的な要素により、人それぞれが出せる音域には個人差があり、キーが高い曲が歌いにくいと感じるケースは珍しくありません。無理やり高い声を出そうとすると、喉に負担がかかりダメージを与えるリスクがあるので注意しましょう。無理なく高い声を出すためには、音域を広げる練習やトレーニングが必要です。
高い声を出すポイント4つ
高い声を出しやすくするには、意識的にいくつかのポイントを取り入れるのが効果的です。基礎的な知識を把握し、音域を広げる練習やトレーニングに生かしましょう。
ここでは、高い声を出すのに必要なポイントを4つ解説します。
腹式呼吸を行う
「腹式呼吸」とは、就寝時などのリラックスしているタイミングで自然にしている呼吸法を指します。肺の上部で呼吸する「胸式呼吸」と異なり、肺の下部にある横隔膜を使って深く呼吸するのが特徴です。
腹式呼吸をマスターすると、たくさんの空気を取り込めるようになり、高い声を出す際の支えになります。くわえて身体の緊張と声帯の強張りが和らげられるため、高い声を出しても喉を痛めにくくなることが期待できます。
腹式呼吸をする際は、まずは身体の力を抜きましょう。限界まで肺の空気を吐き出した後、鼻から息を吸って口から吐くことを意識してください。肩を上下させたり胸元を動かしたりせずに、お腹に空気を溜めるイメージで呼吸するのがポイントです。
正しい姿勢を心がける
首ごと頭が前に出ている前傾姿勢や背中が丸まっている猫背の状態、片足に体重をかけて立つ姿勢では、しっかりとした腹式呼吸ができません。正しい姿勢を保ちましょう。
腹筋に力を入れて背筋を伸ばし、顎を引いて立つ姿勢を意識してください。片足ではなく両足に体重をかけることも大切です。正しい姿勢を心がけるだけでも発声しやすくなり、高い声も出しやすくなります。
高い声を出そうとすると、上半身が引き上げられ背伸びをするように力が入る方は、重心の移動も意識しましょう。重心が上がると首元が力み、発声できる音域が狭まります。重心を下げて首元に力が入らないように注意してください。
リラックスして歌う
音域に関係なく、歌う際はリラックスすることが大切です。力が入っている状態で歌い続けると、喉を疲れさせたり痛めたりしてしまいます。息を吐いて緊張をゆるめ、喉が開いているリラックス状態を意識してください。
また、食べ物を噛み砕く際に使う「咬筋」がかたくなっていると、顎に力が入り喉の力みにつながります。頬骨の下周辺をマッサージし、咬筋をほぐしましょう。舌の力みも音域を狭める原因になるため、下顎の裏側を軽く押しながらほぐすのがおすすめです。
声を前に出すイメージで歌う
高い声は意識して出さなければ、弱く小さな音になってしまいます。また無理して出そうとすると、金切り声になったり声が奥にこもったりします。特に地声がハスキーボイスの方は、意識しなければ声が出にくい傾向があるので、息を吐き出し声を前に出すイメージを持って歌いましょう。
最初は難易度が高く感じるかもしれませんが、繰り返し発声すると徐々に音が通るようになり、安定感のある高い声が出しやすくなります。音程をつけつつ、声を前に出すことを意識し練習してください。
高い声を出すためのトレーニング方法
高い声を出しにくい方でも、トレーニング次第で自分が出せる音域を広げられます。高い声を無理なく出せるよう、効果的にトレーニングをしましょう。ここでは、高い声を出すための具体的な4つのトレーニング方法を解説します。
リップロールをマスターする
リップロールとは、発声に関する基礎的なボイストレーニングの1つです。唇を閉じた状態で息を吹き、ブルブルとふるわせながら声帯だけで音程を上げ下げして音を出します。
リップロールをマスターすると声帯の開閉がなめらかになり、歌う際に音程をコントロールしやすくなるのが特徴です。地声と裏声の使い分けや高い声の発声が楽にできるようになるほか、息の量を調整するテクニックも身につきます。
リップロールをする際は、口元に力を入れすぎないのがコツです。唇がふるえる程度の力で閉じて軽くとがらせ、息を吹きかけましょう。慣れてきたら音程を上げ下げしたり、リップロールの状態でメロディを歌ったりするのも効果的です。
エッジボイスの練習をする
エッジボイスの練習では、「あ」に濁点をつけたような音を出す発声をします。「閉鎖筋」と呼ばれる声帯周辺にある筋肉が鍛えられ、余計な力みが入らなくなる効果が期待できる練習です。高い声も出しやすくなるほか、エッジボイスをマスターすると歌の表現力も広げられます。
エッジボイスの練習方法には、下記のどちらかを用いてください。
- 軽く息を止めた後、最小限の息の量で声を出す
- 「あー」と発声しながら、濁点をつけたような途切れる声になるまで音程を下げる
いずれの場合もリラックスした状態で発声しましょう。小さい声量からはじめて段々と大きな声量にしたり、低音から高音へと変化させて音程をつけたりするのが効果的です。
ミックスボイスの練習をする
ミックスボイスは地声と裏声の中間の声を指しています。普段よりもトーンが高い、電話対応をするときの声をイメージしてください。下記のポイントを押さえてミックスボイスを練習すると、高音でも地声ほどの強さを出せるようになります。
- ①喉に力を入れずリラックスして裏声を出す感覚をつかむ
- ②喉を開く感覚をつかむ
- ③ハミングで鼻腔共鳴する
②の喉を開くとは、あくびをする口の形をした際に、喉の奥が広がっている感覚を指します。③のハミングは、口を閉じたまま声を出す方法のことです。ハミングの状態で地声を口の外に出すイメージで発声すると、声が鼻の奥を通り頭頂部に抜けていきます。この時に鼻の奥が響いている感覚が鼻腔共鳴です。
鼻腔共鳴の感覚を歌う際に応用できると、ミックスボイスの習得に近づきます。
少しずつキーを上げていく
トレーニングする際は急に高い声を出さず、少しずつキーを上げましょう。段階的にキーを上げると声が出にくくなる音域を把握でき、無理なくトレーニングできます。
まずは練習楽曲の中で、うまく声が出ないメロディをピックアップしてください。続いて、キーを調節し無理なく歌えるようになれば、少しずつキーを上げるのが効果的です。声を出しにくく苦しい場合は、1つキーを下げて再度練習を繰り返しましょう。
声が低い方でもキーを調節しつつ練習すると、喉を痛めずに音域を広げられます。
まとめ
歌うときに高い声を出すには、リラックスして腹式呼吸をしましょう。出せる音域は人によっても異なりますが、トレーニングを重ねれば高い声を出せるようになります。
トレーニングでは、リップロールやエッジボイスの練習をしましょう。歌いたい曲のキーを無理なく歌える高さに調整してから徐々にキーを上げていき、少しずつ高い音域に慣れていく方法もおすすめです。高い声を出す練習をするときは、喉を傷めないように注意しましょう。