• レッスン教室検索
  • お問い合わせ

Column[ コラム ]

リップロールとは?練習から得られる効果ややり方・コツを解説

リップロールとは?練習から得られる効果ややり方・コツを解説

ボイストレーニングの方法として多くの方に知られているのが、リップロールです。リップロールの練習を重ねるとさまざまな効果が得られ、発声のウォーミングアップにも役立ちます。歌がうまくなりたい人はもちろん、将来的に歌手や声優など、声を仕事にしたいという人にはぜひおすすめしたい練習法です。

当記事では、リップロールとはどのようなボイストレーニング方法か、またリップロールで得られる効果や実際のやり方、練習するときのコツなどを解説します。

ボイトレで有名な「リップロール」とは?

リップロールとは、基礎的なボイストレーニングの1つです。閉じた状態の唇に息を吹きかけるようにして、ブルブルとふるわせながら発声します。発声の基本や音程のコントロールなど基礎練習に効果的なため、初心者の人だけではなく、歌唱力アップを目指す人にもおすすめのトレーニングです。

リップロールをすると口まわりと喉の緊張をやわらげられます。プロの歌手がウォーミングアップとしてリップロールを取り入れるケースもあり、歌唱歴に関係なく歌うことに役立ちます。

リップロールで得られる効果

リップロールをすると、下記のようなさまざまなメリットが得られます。

  • 表情筋や喉まわりを含む、全身のリラックス効果が得られる
  • 口を閉じたまま発声するため、口腔内の乾燥を抑えて声帯の保湿ができる
  • 横隔膜や呼吸筋が鍛えられ、喉の負担軽減につなげられる

いずれも、歌うことにプラスに働くメリットです。以下では、リップロールの代表的な効果を4つ紹介します。

正しい音程を取りやすくなる

歌うときに正しい音程を発声するには、声帯の開閉をうまくコントロールしなければなりません。リップロールで音程を上げ下げすると声帯の開閉をコントロールする力がつき、音程を取りやすくなります。普段は出さないような音も発声しやすくなるでしょう。

口を開けて発声するよりも、閉じている状態のほうが自分の声が内耳に伝わります。このことから、リップロールは自分で声を確認しやすく、正しい音程を取れているか判断するのにも役立つトレーニングと言えます。

発声時の息の量をコントロールしやすくなる

リップロールは息の量が多すぎたり少なすぎたりすると、うまく発声できません。息を安定させなければ唇のふるえが途中で止まるため、吐き出す息の量を意識しながら発声する必要があります。

繰り返し練習することで、適切な呼吸量で発声できる力を身につけられます。息の量をコントロールする感覚をつかめると歌う際に息を吐きすぎなくなるため、声の枯れや歌っている最中に息が足りず苦しくなる状態を抑えられるでしょう。

喉への負担をかけず歌いやすくなる

口まわりや声帯周辺が力んでいる状態で歌うと、喉に負担がかかり痛める原因になります。余分な力を抜いて歌えるようになるには、リップロールを練習するとよいでしょう。

リップロールは、口まわりに力が入っていると発声しにくいです。口のまわりに力を入れないようにリップロールをすると、リラックスして発声する感覚を習得できます。リップロールの感覚を歌唱時に応用できればリラックスして発声でき、喉にかかる負担を抑えて歌いやすくなります。

地声と裏声を切り替えやすくなる

地声から裏声へ切り替える際に声が裏返るのは、切り替える際に息の量が多すぎるためです。リップロールで息の量をコントロールし、一定の呼吸量をキープする力をつけることで、地声と裏声を切り替えやすくなります。高低差があるメロディを歌う際にも生かせるようになるでしょう。

また、一定量の息を吐くことを意識しつつ、リップロールをして音程の上げ下げを繰り返すと、スムーズに地声から裏声に切り替える感覚を習得できます。声帯の動きをなめらかにできるほか、高音を出したときに緊張で喉が締まる状態を抑えられるので、広い音域の楽曲が歌いやすくなります。

リップロールのやり方

リップロールの注意点として、リップロールを集中的にやりすぎると声帯を閉じる力が弱まり、力強い声が出にくくなることが挙げられます。声帯に負担がかかるケースもあるので、練習時間を調節するのが大切です。ウォーミングアップとして時間を限定するなど、ほかのトレーニングと組み合わせる方法もよいでしょう。

ここからは、実際にリップロールする際のやり方を解説します。

力を抜いて唇を軽く閉じる

唇に力を入れてぎゅっと閉じると、唇をブルブルと振動させにくくなります。唇は力を抜き、軽く閉じましょう。安定して唇を振動させられるように、口まわりだけではなく上半身から力を抜きます。頬に空気を溜めていないかなども意識してください。リラックスした状態を維持することが大切です。

軽く唇を突き出し口角を上げる

唇を自然に閉じた後は、軽く唇を前に突き出しましょう。「アヒル口」をするイメージで頬を少しすぼめて、下唇よりも上唇を前に出すのがポイントです。

唇を真横に伸ばしたままでは振動させにくいため、口角を上げます。口角を上げるのが難しい場合は無理に顔に力を入れず、両頬の下に指をあてて引き上げるのもよいでしょう。顔の力みを抑えてリップロールできます。

口の中に空気が入る感覚がある人も指を使って両頬を軽く押さえると、頬の膨らみを軽減できます。リップロールに慣れてきたら、指を離して再度チャレンジしましょう。

唇を低い音から高い音へと振動させる

十分に空気を吸い込んだら、自然に閉じた唇の間からゆっくりと息を吐き出しましょう。唇がブルブルとふるえ、振動を続けられていたら正しくリップロールができています。

ある程度、唇の振動を維持できるようになったら、音程に変化をつけましょう。低い音から高い音へとつなげて発声するのが効果的です。

なお、振動が続かずに止まってしまう場合は、口のまわりや体の力みが抜けていない可能性があります。リラックスすることが難しい人や唇の形が安定しない人は、頬を指で押さえてみてください。

腹筋を意識して息を吐く

正しいリップロールは腹筋の力を利用しています。そのため、うまくリップロールできない場合は、お腹に手を当てて腹筋に力が入っているか確認しましょう。息を吐くタイミングで腹筋に力が入り、吸うタイミングでお腹が膨らむ「腹式呼吸」になっているかがポイントです。

リップロール中に腹筋に力が入っていない場合は、まず腹式呼吸を意識してください。腹式呼吸ができると呼吸がコントロールしやすくなり、リップロールをするのにも生かせます。

リップロールの練習をするときのコツ

リップロールを練習するときは、以下の3つのコツも参考にしてください。

上下の歯の接し方を意識する
上下の歯が自然に噛み合っていないと、上唇と下唇を安定して閉じられません。うまく唇を振動させられないため、歯の接し方を確認しましょう。上下の歯が離れて隙間ができるほどに脱力はせず、軽めに噛み合って自然に接している状態を意識してください。
唇が振動する感覚をつかむ
慣れない間はうまく唇がふるえず、振動が途切れることもあります。無理に長く続けようとはせずに、まずは短いリップロールを繰り返して唇が振動する感覚をつかみましょう。少しずつ息の量もコントロールできるようになり、段階的にリップロールできる時間を伸ばすのに役立ちます。
音程を確認する
低い音から高い音へと振動させられるようになった後は、安定した音程を出せているかの確認も必要です。喉の締まりがあると音程がブレてしまいます。唇の力加減を意識して、安定した音程を出せるよう練習しましょう。

リップロールを長い時間継続できるように意識しすぎると、緊張して唇を振動させられなくなります。練習を繰り返して少しずつリップロールできる時間を伸ばし、ボイストレーニングの1つとして役立てましょう。

まとめ

リップロールとは、自然に閉じた唇から息を吐き出し、唇を振動させて発声するボイストレーニングです。リップロールで息を吐き出す量や音程をコントロールできるようになると、歌唱時の息の量を調節できたり、喉への負担を軽減できたりします。また地声と裏声の切り替えが上達し、高低差のある曲を歌う際にも役立ちます。

リップロールを練習するときは口まわりの力を抜いて、唇を軽く突き出しブルブルと振動させましょう。歌唱前に体をリラックスさせるのにもよいトレーニングのため、ぜひ歌唱力アップ、歌唱前のウォーミングアップにリップロールをやってみてください。