「旋法の不思議」(正格/変格について)

2021/09/18 [和声学]


「Hope Isolation Pray」作曲:菊田裕樹


この曲の後半部のメロディは「A aeorian」で書かれています。
これまでの理解だと、それだけで終わってしまうのですが、私は理屈では納得できない何かがずっと引っ掛かっていたのです。
「何故、ここはこんなに感情が動くのか」と。

それが、正格旋法と変格旋法という概念を感覚的に理解した途端にすっと楽になりました。この二つは音の力学が全く反対にあるのですが、オクターブを均してしまい「音階/スケール」にすると、正体が見えなくなる良い例です。
旋法が分からないという人は「型」に拘り過ぎているケースが大半。
同じスケールの上を歩いているのだから、どのも同じでしょと。
それは今のデジタル社会と似たようなものでしょう。旋法は「調性/無調性」より遥かに深いものです。
無論、音響概念にも差はあるでしょうけれど、調性ほど確固たる差異は見当たりません。

「頭」で分かると、すぐ次に行きたくなるものですが、それでも感覚的に引っ掛かるものは何かやり残しがあるのです。

少なくとも音楽においては「感覚的に分かる」方が遥かに大切。
天才はそれをいとも簡単にやってのけているのでしょう。
 

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