音感の悩みについて

2018/11/27




私が習っていた頃のレッスンでは聴音については本当に基礎から教えて頂きました。
とても面白かったのが「バークリー式の音名」で半音を確実に唱うところ。

「ド」は最低でも二種類(音によっては三種類のものも)あります。
ある本で読んだのですが「発する言葉と実際に聴こえているものが不一致」の状況が続く人間の脳は混乱し、大袈裟に言うと認知の歪みが起きてしまうらしいのです。
それは精神にも悪影響があるらしい。

ド# の場合は「Di/ディ」とかミ♭は「Me/メ」としっかり区分するのも結構効果があります。

あと、これだけは言っておきたいのが「絶対音感神話」について。
私も下手したら30歳を超えてからも「音感が確実にならないから才能が無いんだ、訓練してもダメだ、諦めようと何度も考えました。

しかし、これがプロの一線の演奏家や作曲家ですらも「相対音感」はおろか、「ダイタイ音感」の方も多数いらっしゃったのです。
何と心強かったことか。

勿論、音当ての能力は有るに超したことはないですが、実は「絶対音感」というのは音楽家以外の方もたくさん持ってらっしゃいます。単に「音当てクイズ」ができるだけという方もたくさん見てきました。 
(固定ドなんて何ヘルツかに固定されたら苦しいだけ、多くの保持者は微調整や後天的な訓練で相対音感も身に付けています)
それよりも音が醸し出す雰囲気や和音の性格、音色などに敏感になること。
本当に出したい音をひたすらイメージし続ける事が大切です。

世界的な作曲家の武満 徹さんは、若い頃ピアノを買うお金などなく、段ボールで作った紙ピアノを持ち歩き弾いていたそうです。
後年、インタビューで「さすが武満さん!紙ピアノでも、音が全部分かってらしたのですね~」と問われた時に何と「いや、そんなこともなかったんだけどね。どうしょもないなぁ(笑)」と答えて居ました。

恐らく相対音感すら完璧ではなかったかも。
完全に妄想の世界です。
それでも、音名が分からない事によって却って彼独特のあの世界観が出来上がった部分が必ずあるのです。先入観がないから色々とああでもない、こうでもないと弾きながら「自分の音」を見付けていったのだと思います。

そして、それは音名などよりももっと深く切実に欲した「音自体」であったに違いありません。

勿論、音程感や耳コピの訓練はできだけ続けるべきですが「自分なりに出したい音のイメージを確立する」ことにも集中してみて下さい。

パーカーのあの速くて難しいフレーズも、オーネット・コールマンのヘンテコリンなフレーズも無調音楽でさえも、良いものは何かしら心動かす「ウタ」が聴こえて来ますし、「音響体」として音をそのまま感じ取る、という能力が最も大切なのです。

私なんて未だに「音当て」音感は怪しいですよ。それでも自分の中に理想の響きは聴こえているので、あとは探すだけなのです。
時間は掛かりますが。
作曲とは、長い目で見て地道に続けることです。

聴こえない方が良い。
とまでは言いませんが、少なくとも音当てができない=音楽性も才能も無いとは言い切れないことは間違いないのです。
理想の音が来たときに「捕まえること」ができるかどうか。反応できるか。
10年なんてまだまだ短い。20年、30年とやる覚悟、音楽が死ぬほど好きであること。

ダイタイ音感で「無調音楽」の良さが分かるまで辿り着いた超凡庸な私が言いたいのここです。


文責:彦坂?

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