ベートーヴェン→ワーグナーの系譜

2023/11/12

ベートーヴェンの「純粋芸術」、「形式の中での自由」、「限られた素材の徹底使用」の精神は意外にもワーグナーに繋がっている。
しかし、ワーグナーにとってそれだけでは物足りなかった。
彼は全てを支配したかったのだろうか。

...

その精神を引き継いだまま「劇音楽」や「総合芸術」に向かったのである。
その面での手本はウェーバーであった。
彼はウェーバーに心酔していた。

彼にとってユダヤ的なものは「自由」「拝金」「根なし草」の象徴として排斥された。その一面だけを見ればヒトラーとの関連は否定できない。

しかし、彼は人種差別的な発想ではなく、その「感覚」に嫌悪を覚えていたのであろう。
フランス的なプログレッシブ、その時の気分で良いじゃない?というのが許せないタイプ。
当然、ベルリオーズは嫌悪する対象となる。ブラームスは技術は評価していたが、あまりにも頭が堅いので嫌い。

そんなワーグナーに当初は惚れ込んでいたドビュッシーは後年、アンチワーグナーに。

どちらが正しいという事はない。
最後は好みの問題になるとも言えるが、アカデミズムや権力が偏ることは決して創造的とは言えない。
そういう面で、今の現代音楽のコンクールは何ともお寒い状況と言える。懐が狭いのか、頭が悪いのか。

その両方であろう。




文責:彦坂

音楽豆知識一覧