調性について

2023/03/24


これまで、多くの音楽書を紐解いたが「調性」を本気で捉えようとしているものが少ないのには驚きを隠せない。

調性を無機質な「階段」や「モノサシ」にしてしまっているものが大半である。

それに反して、ジョージ・ラッセル著「リディアン・クロマティック・コンセプト」は、調性の有機的な螺旋構造を感得するために「調中心」から見直している。
調性が本当に分かってこそ、ドビュッシーやラヴェルのエロス、プロコフィエフの諧謔、バルトークの生真面目さ、シェーンベルクの革新の意味が理解出来る。
ただ、日常生活を送ったり、商売人として音楽を書く際にはそんな事は知らない方が良いらしい。現代の人間の耳の感覚が如何に鈍麻したことか。
好き嫌いという以前の問題であることに気付いている人がどれだけ存在するだろう。
私はただ、ひたすら寂しいと思うときがある。
感覚や了見の共有ができない、という事ほど寂しいことが他にあるだろうか...。


文責:彦坂

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